rimworldプレイ記録07「移住」
で、どうだったんだい?
南に半日ほどの所に村と東西に走る街道がありました。
交易先としては都合がいいですが……
……
技術的には我々よりも劣っているので、
『知識を得る』ことは叶わないでしょう。
街道沿いに他の集落はありそうかい?
あの村では通貨が使われていたわけですから。
その取引先は道の先にあると思います。
こういうのは早い方がいい……
アスキア、ここは棄てる。道沿いに移住するよ。
場所はここ。
山を背に、川と道に面した所。
あんたは皆に伝えてきな。引っ越し準備だよ。
知識の砦は四方を山に囲まれた場所であり、籠るのには適している。
しかし、積極的に交易を行うには山が険しく時間がかかり過ぎる。
レガノ兄弟団、クルタノス学派の理念は「進歩」と「共栄」である。
彼らはいつまでも内に籠っている訳にもいかないのだ。
……わざわざここを捨てる?
はい。
そして、また一からという訳ですか。
そうなります。
食うことに関しては困っている訳じゃないんですよ。
『現状』はそうです。
賊に名が届いたように、同志の下にも届くかもしれません。
……
私としては彼らを見捨てるという選択肢はない。
ここで同志を迎え入れても食料は枯渇するでしょう。
他から食料を買い入れるか、農業や牧畜を始めるか……
そのためには交易しか無いってことですかい?
私はそう考えています。
人を集めることに関して俺も賛成です。
……人手が増えれば俺だって楽できますしね。
……それまで大いに頼りにさせて頂きます。
少し、楽かも。
ん?どうした。
今度は逃げるわけじゃないから……
彼らは荷物をゾウの背に積み込み、砦を発つ。
目的地までは三日ほどの距離だ。道中で賊に襲われないとも限らない。
食料は六日分。向こうに着いたらここまで戻れるかは分からない量。
恐らく、彼らはもう二度とここに帰ることはないだろう。
着いたはいいけどひどい雨。
さっさと小屋でも……いいじゃないか、あれを使うよ。
これは、遺跡……ですかね?
墓のようにも見えますが。罰当たりなんじゃ。
いいかい古今東西墳墓の類には盗掘がついて回るものさ。
こんな古いんだ。きっともう盗掘されて、何もないよ。
そうでしょうか……
む、メカノイドか珍しい。
知ってんのか、爺さん?
人狩りの自動人形、超越文明の落とし物……
この宇宙を彩る謎の一つであり、辺境における不運な死因。
ああ、つまりはヤバいってこったな。
どうします、アスキア殿。
詫びの一つでも入れときますかい?
いや、古臭い人形には眠ってもらいましょう。
くれてやるのは鉄だけです。
何ていうか、意外とあっけない。
腕を少し打った以外は怪我無しです。
全員無事でないよりです。
何やってんだい、あんたら。
さっさと荷物を運ばないかい。
食べ物が雨で駄目になっても知らないよ。
クルタノス学派の信徒たちはすぐ傍を流れる川の名にちなみ。
ここを『ヒドス城』と名付けたのだった。
rimworldプレイ記録06「旅」
アスキア君ッ‼出発はまだかね⁉
そんなに急ぐならストークスさんも荷造り手伝って下さいよ。
それは無理だ。そんなのは私お仕事じゃないからね。
君がやってくれたまえ。(苦手:雑用)
この冒険に目的地はあるのかね?
とりあえずは取引の出来る集落を見つけたいですね。
ふむふむ。では、北と南のどちらに行こうか?
北は険しいですから……南にしましょう。
アスキア君、見たまえ。あの煙を。
飯炊きのものでしょうか……?
寄ってみましょう。
そこは王国と比べても原始的な人々が暮らす集落だった。
木造の家々が並び、人々は農耕と牧畜を行って暮らしている。
ここの人間たちは星外から来た入植者の影響をほとんど受けていないのだろう。
集落の中に通されたアスキアにはそう思えた。だが、皆無ではない。
王国の言葉と入植者の言葉の混成言語である『商業語』が通じる人間が居たことからも、少なからず入植者との取引もしている筈だ。
何か買うのかね?
いえ、持ち合わせがないので今回は帰りましょう。
二人が探索に出ていた時にちょうど隊商が来ていたが誰も相手をしようとしなかった。
……
……
誰か、あの臭いのをどっかにやってくれないかい⁉
殺人的な臭い……殺してやりたくなるから俺は無理ですね。
こういうのはアスキア殿の仕事ですよ
rimworldプレイ記録05「加入」
泥臭いキミはどうして牢に繋がれる羽目になったのかね?
……
私は旅人でね、すぐにでも彼方へ行くのだよ。
……
かつては間星艦隊の技術士官を務めていてね。
惑星基地の設計を手掛けたこともあったさ。
アレはあれは、実に難しい仕事だった。
……スランボ
お話がなかなか弾んでいるようで。
おお、アスキア君か良い所に来た。
前はいったい何のことまで話したのだったか……
ええと。確か、第五艦隊での助勤の話だったかと。
そうだった、そうだった。
あれは実に得難い経験だったよ。
ストークスはインフラ整備の専門家であり、高名な芸術家でもあり、一流の格闘技術も有している得難い人材だが、根無し草の気があるらしい。
気の向くままに職を辞してリムワールドに降り立ち、彼は宙賊の門を叩いた。
入団試験を兼ねた初めての襲撃に失敗して今は牢に繋がれているというのに、この紳士は変に楽しげですらある。
狂っているのかいアレは?
そんなことはないと思いますが。
彼が言うには危険も旅の楽しさらしいですよ。
『旅』ねえ。
男ってのは本当にそういうの好きなもんだね。
ええ、周囲の探索に出る予定があると言ったら。
「是非とも、協力させてくれたまえ」だそうです。
まあいいさ、知識を分かち合えるならね。
あたしは異人だろと亜人だろうと歓迎だよ。
知恵の砦に一人の異人が加わった。
彼の初仕事は自分の部屋づくりになるだろう。
ありゃ、ゾウだよな。
うん。
まあ、ゾウなら人に慣れたっておかしくないか。
……うん。
おお、ゾウか。
あれがスランボなんだよな?
……多分。
それが何で倉庫ではしゃいでいるんだ?
……
す……すばらしいっ‼
口が聞けたんだね?
らしいですね。
今、どうしてるんだい?あれは。
ゾウの世話をし始めました。
ったく、うちのは勝手が過ぎる奴ばかりだね。
……
こうして知恵の砦に二頭と二人が加わったのだった。
rimworldプレイ記録04「帝国の貴族」
雨上がりからしばらくして、知恵の砦に隊商が訪れた。
ウマや牛を多くつれた家畜商人だった。
どうだった?
駄目でした。買い取れるようなものは殆どないそうです。
『殆ど』?
コンポーネントなら買い取っていいと。
それは駄目だよ。あれは研究にも他にも入用だからね。
次までに何とか交易品を用意するしかないですね。
この集落に産業と言えるものは無いが、肉目当ての狩猟のお陰で皮革ならある。
それを服なりに加工すれば、必要な医療品を賄えるようになるだろう。
幸い、旅の習いでアスキアには裁縫の心得もあった。
食事の準備があるヘイデンとリディアの手を他に向けさせる必要もない。
「そこなるもの余を助けよ」と叫びながら逃げる人物が居た。
誰か……居る。
ひどい慌てようですね。あの人。
ありゃ確か『ジーニー』って奴ですよ。
転んだだけで死んじまうって話です。
ああ。だから、あんなにも……
見殺すことも無いでしょう。犬も一匹だけみたいですし。
何だい、さっきから。騒がしいね。
母さん。シドニア侯が是非お礼をしたいと。
シドニア?侯?あたしは貴族なんか嫌いだね。
あんたが適当に相手しな。
いや、それが……家士に取り立てたいらしく。
貰えるものだけ貰って、とっとと帰らせな。
閣下ってお呼びした方がよろしいですか?
シドニア侯の家士にしてクルタノス派法官のアスキア殿。
ええ、構いませんよ。『坊ちゃん』以外なら何でも。
冗談です。
そんなことより。これ、友好の証だとかであの隊商が。
これは……本当に?あ、ああ。ありがたい……
アスキア殿、それは?
ああ、これはシドニア侯に持たされて。
人数分頂いたので、今夜にでもと思ったのですが。
主役が変ってしまいましたね、これは……
レガノの思し召しってやつかもですね。
「名より実を尊べ」って。
はは、肝に銘じておきます。
rimworldプレイ記録03「囚人」
その日はツイていない一日だった。
日が沈むまでに三回も襲撃に遭い、夜になってからは雷雨に襲われた。
ったくよぉ。慌ただしいったらあっりゃしねぇ。
怪我はねえか?
うん。大丈夫だけど……
『だけど』、なんだよ?
このままじゃ本物の兵士が来るんじゃ、ないかって。
当分の間は大丈夫だと思いますよ。
へえ、それは一体どうして?
アスキアが事情を聴く前に死んでしまった二人目を除けば、誰もが「人が住んでいそうな山小屋があったから、襲った」と言っていたのだった。
どうやらこれらは計画的なものではなく、突発的なものらしい。
4人目も同じ事を言っていたので。多分、間違いないです。
4人目?
ええ、向こうで行き倒れていたんで拾ったんです。
ずいぶんとオマヌケな賊も居たことで。
で、拾ってどうするんです?それ。
死ななかった二人に幸運なことに致命的な外傷はなかった。
(特にヘイデンのハルバードを胴に受けた三人目は奇跡的ですらある)
ひと先ずは、居間に押し込んで閉じ込めてある。
実はそれを聞きに来たんですよ。
お二人の同意さえあれば、ここに置こうと思いまして。
……
俺たちの食い扶持だってやっとだと思いますよ。いまは。
台所事情についてはお二人のお陰で本当に助かってます。
殺すのが忍びないって言うのなら……
いえ、そうではないんです。
現状、建築はジュラが料理はヘイデンが食料調達はアスキアとリディアが担っている。
行商に売りに出す交易品の生産や、研究に執筆作業と考えると手が足りない。
特に、山小屋のすぐ北側に露出している銀鉱脈の採掘に囚人たちは役立ちそうだ。
ここらについて何も知りませんし、人手も足りてません。
食料はその分、私のを減らして構いませんので。
必要ならいいんですよ、別に。
半殺しにした奴と一緒ってのがやりづらいだけで。
そこについては私がちゃんと見ておきます。
ん。決まったんだね。
ええ、何とか。
で、あんたがアレらを世話するんだね?
?……そのつもりですが。
なら、あんたは今日から教区法官だ。
大仰過ぎませんかね?
フッ、名前ってのは大事なんだろ?
アスキア教区法官殿。
rimworldプレイ記録02「亜人」
この森に居ついて数日、最低限度の生活基盤を築いた頃に見知らぬ客が現れた。
虫が人の形を象って歩き出したような、正しく異形の「亜人」。
彼らの故郷では蔑みを込めてそう呼ばれていた。
アスキア。あんたが行ってきな。
まあ、いいですけど。大丈夫ですかね。
外嫌いの王様が亜人を使う訳ないよ。ありゃ迷子さ。
なんて言ってました?キーキー言ってませんでした?
商業語が通じましたよ。ちょっと、道に迷ったらしいです。
迷子が迷子に道を尋ねたわけですか。
まあ、屋根だけ貸すってことで……
彼女(誰も本人の申告無しに性別に気付けなかった)は亜人たちが集まって暮らす集落の出で、行商の途中ではぐれたらしい。
森を彷徨ううちにこの山小屋にたどり着いたということだ。
クルタノス学派としては異人も亜人も隣人ということになっており、彼らはこの遭難者に居間を一晩貸すことにした。
この数日を通して幾つもの問題が見つかった。
一つには、森の過酷さだ。
森には多くの動植物が存在し、恵みとなるものも危険な存在もいた。
事実、リディアはパンサーに襲われあわや首を切り裂かれるところだった。
そうだというのに、この森には薬草として使える植物が存在していない。
ただでさえ、疫病の危険が大きいこの星ではそれは致命的な問題だ。
ジュラはここからさらに移動することも視野に入れて考える。
あんたはどう思う?
確かに、足りないものはありますが。食物はあります。
……
先日の亜人。彼女が集落に帰っていれば、
行商隊を連れてまた来てくれるかもしれません。
行商から薬を買うわけかい。
それに、移るにしても。地理に明るくないですから……
なら。売れるものを用意しなきゃ、だね。
それと名前も考えた方がいいでしょう。
名前?今、必要かい。それ?
誰が名乗らない者や名乗れない者を信用するものですか。
むむ、そうかい。まあ、凝ったものにする必要もない。
「レガノ兄弟団」の「知恵の砦」とでもしておくよ。
rimworldプレイ記録01「森の中で」
そろそろ巻いたんじゃないかい?
,……ですね。彼らも諦めたのでしょう。
お二方。敵が居ようと居まいと動けそうにありませんぜ。
何でだい?
食べ物が……もう、ありません。
一行はここで小休止とすることにした。
王国の兵士から逃げてもう半月、疲労はもう限界に近い。
ジュラはリディアに薪集めを任せると。彼女は男衆を率いて狩りの準備を始めた。
ベリーを摘み、掘立小屋を建てていると遠くから近付いてくる影が……
王が差し向けた兵士が三人、彼らを追ってやって来た。
兵士じゃ無いね……あれは。
ひい、ふう、みいと。俺一人でもやれますぜ、ありゃ。
一応です。全員でかかりましょう。
やや不愉快な汗を流した一行は戦利品を片手に肉料理に舌鼓を打った。
まぁ、一杯やりな。イケない口じゃないんだろ?
……はあ、まあ。
昼間の襲撃もあり、結局は小屋一つ建てるのみで一日が過ぎてしまった。
寄る辺なき彼らにとってそれは「家」なのだろうか、それとも……
四人は薄い敷物を敷いただけの床で目を瞑る。実に十数日ぶりの安眠であった。